Contents

アロマセラピーとの出会い

母が結んでくれたご縁 

私が、アロマセラピーと出会ったのは2013年の秋、実母のがん闘病中の病室でした。

アロマセラピーとの出会いの前に、母のことを書かせていただこうと思います。

私の母は、4人兄弟の2番目で酒屋の娘として育てられ、父と結婚し家業の米穀店を切り盛りし、朝から晩まで家事に商売・地域の集まりにも手を抜かず、合間に手作りのお菓子や洋裁が趣味の元気で明るい母でした。私は祖父母と同居の昔ながらの田舎の3世代家族の長女として育ててもらいました。

母は、私を出産直後から体の痛みや微熱などの異変を感じていたようですが、原因がわからないまま十数年経ち、全身性エリテマトーデスと診断されたのは、私が中学に進学するタイミングでした。数か月の入院期間があり、退院後もそれまでと変わらず過ごしていた母を私は、尊敬の気持ちとともに自分は同じように出来ないという思いであまり手伝えずに自分の思うがままに過ごしてしまいました。

私は進学と同時に家を出て学生結婚しました。母にはいろんな心配をかけたと思います。

自分自身が母となり、母の気持ちが少しずつ自分なりに分かるようになり、母との関係もずっと近づけたかなと思いました。私自身も3世代家族で子育てをすることになり、母の大変さも感じながら、帰る場所を置いていてくれることに救われ、子育てを頑張ってこれました。

帰るといつも太陽のような母がいる。母はとてもお洒落でいつも生活の中に小さな楽しみを作るのが上手で、私にもその楽しみ方を教えてくれました。

母は香りも好きで、ロクシタンのハンドクリームやシャンプーなどの商品も母から教えてもらったくらいです。

その母が、すい臓がんと分かりもう長く生きれないかもしれないと伝えられたのは、私が35歳の時。「母に心配かけたまま、母を見送るのは嫌だ。」という気持ちで、できるだけ一緒にいる時間をとることと、同時に母から心配されない私を探すことに目を向けるようになりました。若くで結婚して、自分の仕事についていろいろと悩んでいる時期でした。

アロマセラピーとの出会いは、その母が緩和ケア病棟に入院中の病室で、ボランティアのアロマセラピストさんが、トリートメントに来てくださったときでした。

元々、母はマッサージが好きで、私も小さいころからよく母の肩を揉んだり、腰に乗ったりしていたのですが、癌の転移が怖くて、私がマッサージは良くないんじゃないかと勝手に思い込み、いろんな場面で母にマッサージを我慢させてしまっていました。

癌の人でも安全に受けれるアロマトリートメントを、初めて目の前で見て「私も母にしてあげられたらいいな」と思いました。でも、アロマトリートメントは精油をただ直接塗るのか?とか、ただマッサージすればいいんじゃないか?くらいの感覚で何も知識がなかった私は、母にしてあげられない歯がゆい気持ちを感じました。

あの時、母が選んだ精油の香りは「オレンジ」でした。ブレンドしたものではなく、ただ単体のオレンジの香り。病室にオレンジの良い香りが立ち、見ている私まで心地よくなったのを今でもはっきり覚えています。

母が亡くなり、3年経った頃、たまたま訪れた京都の商業施設の中で、アロマセラピーのスクールを知りました。母に導かれたような気持ちでチラシを手にし、アロマの資格について調べてみました。

色んなスクールがあり、日本の協会の資格もありますが、同じ勉強をするなら国際資格として通用するもの勉強したいと思い「IFPA英国国際アロマセラピスト」を目指そうと思いました。

2年半の期間をかけて、眼科クリニックで常勤でお仕事をしながら、土日と有給などを利用しながら。解剖生理学や精油の化学、理論や実技の試験と40症例のレポートの提出など、大変でしたがとても勉強になりました。

母に直接、受けてもらいたかったですが、お越しいただいたお客様のお役に少しでも立てたら、母もきっと喜んでくれるだろうと思っています。

人生、死ぬまで学びなので、知らないことばかりの私は、まだまだ学び足りていないことを学んでいこうと思います。

長々とお読みいただき、ありがとうございます。 2023・8・10